関東朝鮮人強盗団事件

　関東朝鮮人強盗団事件とは、第二次世界大戦終戦直後より関東地方を股に掛けた朝鮮人強盗団による連続強盗事件である。その内一件は強盗殺人も犯していた。

事件の概要

　昭和二十四年九月十三日、警視庁捜査第三課は関東一帯を荒らしまわっていた十数人規模の朝鮮人強盗団の取調べをしていたところ、ある被疑者が背後にある二百人規模の大強盗団の存在を自供し、発覚した。

　同年十二月一日、警視庁は集団強窃盗特別捜査本部を設置するとともに東京都や神奈川県など五十五ヶ所を家宅捜索し七十九人を検挙した。その後の捜査で最終的に朝鮮人二百十五人を検挙した。

　捜査の結果、強盗殺人一件、強盗四十五件、窃盗八百六十一件の犯行が明るみに出た。

犯行の手口

　犯人は十人前後のグループを組んで昼間は倉庫を物色し深夜になるとトラックで現場に乗り込み鍵を壊して倉庫内の物品を積み込んで引き揚げるというものであった。管理人などに発見された場合は、拳銃を発砲して脅したり、ロープで縛ったりするなどして監禁した。

池袋診療所強盗殺人事件

　昭和二十二年十一月四日午後七時頃、強盗団のメンバー三人が東京都豊島区池袋の池袋診療所に侵入して当時の高級薬品であったペニシリンを盗もうとした。ところが当直の看護婦に見つかり大声を上げられたので犯人は所持していた拳銃で看護婦を射殺し逃走した。

　警視庁は強盗殺人事件として池袋警察署に捜査本部を設置して捜査したが検挙に至らなかった。

　朝鮮人強盗団の摘発で、この事件も解決をみた。

参考文献『警視庁史（第四）』（警視庁史編纂委員会編 昭和五十三年）

関東朝鮮人強盗団事件